コラムCOLUMN
<歯周病のあれこれ>
こんにちは、田町スクエア歯科・矯正歯科の中川です。
今回は歯周病についてお話をさせて頂きたいと思います。
実は歯周病は日本人の成人の80%が罹患しているといわれます。
そのうちの17%の方は歯科医院を受診されていらっしゃいますが、残りの方は放置されている現状です。
では歯周病とはどのような病気なのでしょうか?
歯周病とはプラークの中に含まれる、歯周病菌によって生成される毒素によって、歯を支える骨(歯槽骨)が徐々に溶かされる病気です。
よくむし歯と歯周病は同じと思われている方がいらっしゃいますが、実は全くの別ものです。
むし歯の菌は歯を溶かしますが、歯周病菌は骨を溶かします。
歯周病の初期は、歯肉炎と呼ばれ歯茎に限局した炎症が見られます。健康な歯茎は引き締まって固くピンク色をしていますが、歯肉炎になると歯茎が腫れてしまい、色はどす黒くなってしまいます。
症状としては、普段の歯磨き時に出血が起きてきます。
また体調が悪い時には炎症が強く起き、歯がジンジン痛んだり、噛むと痛む、しみるなどの症状が起きます。
しかし普段は特段症状がないため、歯医者を受診される方が少ないのが現状です。
歯周病がさらに進行すると、今度は歯を支える骨に影響を与え始めます。
重度になってしまうと歯がぐらぐら揺れ始め、歯を抜かないといけなくなってしまいます。
歯周病の厄介な点は4つあります。
一つ目は自覚症状がなく進行していくこと。
成人の80%が罹患しているのに、受診率が低い理由はここにあります。
二つ目は治療が難しいこと。
基本的には歯周病で一度失ってしまった骨を回復することは難しいです。
一部分であれば再生医療を用いて回復させることは可能ですが、なかなか時間と費用がかかってしまいます。
三つ目は歯を抜いた後に人工の歯を入れる補綴処置です。
インプラントを希望される方が多いですが、そもそも骨が溶けてしまっているので、事前に骨を作る治療が必要であったり、インプラントそのものが難しい場合があります。
四つ目は全身疾患に悪影響を与えてしまうことです。
歯周病は、脳血管疾患や、心臓疾患、糖尿病などに悪影響を与えることがすでに証明されています。
次回のブログでこのことは詳しく書かせて頂きます。
<歯周病の予防について>
前述のとおり一度歯周病で溶けてしまった骨を回復させることはとても難しいです。
歯周病の治療とは基本的には予防になります。
ではどのように予防するのでしょうか?
歯周病の予防、進行を止めるにはご自身で普段行うセルフケアと歯科医院で行うプロケアです。
セルフケア、つまりブラッシング方法は以前の記事を参考にされてください。
プロケアとは簡単にいうと歯科医院でのクリーニングです。
クリーニングをすることが歯周病の予防になるの?と思われるかと思います。
実は歯周病菌は歯石の表面に大量に生息しています。歯石を除去することで歯周病菌の定着を防ぐことができます。
つまりクリーニングにより歯石を除去することが、歯周病の進行を止めることにつながります。
歯石には二種類あり、歯の歯茎より上に着く縁上歯石と、歯茎より下に着く縁下歯石に分かれます。
歯周病が進行している方には縁下歯石がついていることが多く、除去するのに治療回数が複数回かかったり、麻酔を使って歯石取りを行うことがあります。
歯医者さんでクリーニングなのになんでこんなに回数がかかるんだろう?と思ったことはありませんか?
理由はここにあります。
歯茎の下に歯石が存在する場合、歯の表面の歯石を取っただけでは、歯周病の進行を止められないからです。
毎回クリーニングの度に回数がかかるのではなく、一度徹底的に歯石を除去すればその後は3~4か月間隔のクリーニングで良い状態を維持できます。
定期的なクリーニングは歯周病の予防だけではなく、むし歯の早期発見、治療にも効果的です。
<予防は最強の治療です>
気づいた時には手遅れになりがちな歯周病。
生涯ご自身の歯で美味しくお食事をするために定期的なクリーニングをお願いします。